再び、立ち上がる! ―河北新報社、東日本大震災の記録
「メディアが地域を支える」とはどういうことか。その1つの答えが本書であると思った。巻頭言で河北新報社編集局長の太田巌は「私たちの東北は、いまだ震災のただ中にある」(9ページ)と言い、「メディアとしてなすべきことは何か、記者の1人1人が自問しながら取材・執筆してきた軌跡」が本書であるとしている。
1章『その時、何が』手に汗握る23本の記事で構成されている。我が身に同じことが起こった場合、大いに参考になると感じた。
2章『その命を』人間の尊厳を伝える16本の記事。我を犠牲にする人々の気高さに胸が熱くなった。
3章『逃げる、その時』19本の記事。鬼気迫る記述。その時の混乱を時系列に沿ってまとめあげている文章は、客観的であればあるほど鬼気迫るものだ。
本書の圧巻は4章『それでも、前へ』。28本の記事。涙を堪えることができない現状と、その中で健気に生活を送る被災者の方たち。自分にももっと何かできないか考えた。
各章とも視覚的記述が多く、臨場感と緊張感が漲る執筆となっている。本書が新聞協会賞と菊池寛賞を受賞したのは当然だと思えた。河北新報社報道部長の武田真一はあとがきで、幼稚園児の娘さんを亡くした父親からの1本の電話を紹介している。何を報道していけばよいか先行きが見えなくなっていたとき、その父親の「記録してください」という声が届いた。あの日の出来事を詳細に記録に残す作業は辛い作業に違いない。しかし、残さなければ再び惨事に見舞われる。そんな葛藤を抱えながらの記者の努力の賜物が本書である。多くの方に読んでいただきたい優れた記録です。
写真で見る トモダチ作戦
米軍による「トモダチ作戦」の様子は、これまで部分的にはメディアで紹介されたが、本書でようやく全体の流れがわかった。震災直前、米海軍の水陸両用部隊と米海兵隊を載せた強襲揚陸艦「エセックス」は合同演習のためマレーシア。第7艦隊旗艦「ブルー・リッジ」はシンガポールに入港中で、在日米軍の震災救援活動開始の一報が届くと、ただちに反転して日本に向かった。成田空港に着陸できなくなった旅客機は横田基地に誘導され、米韓合同軍事訓練のため日本近海を航行中の「ロナルド・レーガン」空母打撃群は針路を転じて東北の被災地沖へ。米本土からは大型輸送機で続々と救援物資が届く。陸路が寸断されたため、海兵隊の揚陸艦が直接、海から物資と人員を送り込み、人道支援に大活躍。その展開の素早さは圧巻だ。今回の「トモダチ作戦」によって日米の連帯が再確認できたことは確かだが、同時に米軍の「圧倒的な機動力」についても認識を新たにした。1カ月に及ぶ「トモダチ作戦」の活動を多数のカラー写真と解説で紹介した貴重な資料である。
河北新報特別縮刷版 3.11東日本大震災1ヵ月の記録
「生きてほしい。
この紙面を避難所で手にしている人も、寒風の中、首を長くして救助を待つ人も絶対あきらめないで。
あなたは掛け替えのない存在なのだから」
河北新報 3月13日の社説
冒頭の1文です。
僕の地域も3・11の震災で、7日間の停電となり、食料・ガソリン不足も深刻でした。
さらには余震、原発の問題など、何重もの不安を抱きながら過ごす日々。
そんな中、新聞は正しい情報を知る頼みの綱でした。
河北新報社自体も被災し、大変な状況のなか、発行し続けている…改めて新聞の逞しさ、大切さを知りました。
本書は3月11日の号外から4月11日までの主要紙面を抜き出し、まとめた一冊です。
上記社説のように、不安な日々を送る東北の人々に寄り添った紙面作りとなっています。
僕も3・11からの朝刊を個人的に保管していますが、やはり1冊の本になっていると、見やすくて良いですね。
3月11日の震災から、今もずっと被災者とともに歩んでいる河北新報1ヶ月の記録。
未来に伝える貴重な資料として、オススメします。
ダイナソーセットB
そのまま置いても絵になります。
最新の図鑑を購入して見比べたところ、研究結果に基づいて製作されているんだなぁ・・と感心。
恥骨の出具合などもリアルに表現されていて、勉強になりました。