The Circle Game
無性に「サークル・ゲーム」が聞きたくなって、それもバフィー・セントメリィーではなく、この曲を作ったジョニ・ミッチェルの歌っているものを探していた。そうしたらなんと恐ろしい、ジェイムス・テイラーとのライブ版を発見。1970年10月28日のローヤル・アルバート・ホール(ロンドン)での収録らしいが、あるんですねこんなお宝音源が。恋多き女性ジョニはこの頃ジェイムスと恋人同士だったのは有名な話であるが、このCDでは当時のアツアツな雰囲気が伝わってくる。ただしちょっとイチャイチャしたところはあるが、2人のパーフォーマンスのクオリティは高い。特に「サークル・ゲーム」のジェイムスとのデュエットは感動もの。CDジャケットのアナログ感もいいし、2人のファンの方は是非聞いてください。
Court & Spark
フォーク一本でやってたジョニですがFor the Rosesからバンドサウンドを取り入れ、これでついにミュージシャンはべらし開始。これまでと違ってフュージョン色が濃くて、ジョニの作品の中でもかなりポップで軽やかなのでこれをジョニ入門にしてもいいかも。売れたみたいだし。ポップつっても女の哀愁みたいなのは相変わらず漂っててて、深みがあるのは当然ですが。しかしここからのジョニはマジ神がかってますね。Court and Spark、The Hissing of Summer Lawns、Hejira、Don Juan's Reckless Daughter。他のミュージシャンが一生かかって辿り着けるか辿り着けないかの境地の作品を毎年連発してます
シャドウズ・アンド・ライト[完全版] [DVD]
「ジャコ・パストリアスの肖像」を愛読し、
渋谷のスィングで見た「Shadows & Light」のライブ・ビデオを忘れられず、
テレビも買い換えたことだし、
ジョニ・ミッチェルというより、
ジャコ・パストリアスを見たくて購入しちゃいました。
1979年のジャコだから、彼が絶頂期にあった頃でしょ。
このライブ、兎に角衝撃的なのはジャコ・パストリアスのベースだ。
ベースだけで音楽を作れちゃう、
こんな稀有の才能を持っているのは後にも先にもジャコだけでしょう。
特に震撼させられるのが8曲目の「Dry Cleaner from Des Moines」。
4ビート・フィールのB♭ブルースのナンバーなんだけど、
ジャコのベース・ラインが凄いのなんのって革命的。
マイケル・ブレッカーが猛烈にテナーでソロを始め、
ジャコが煽る煽る。
このトラックは一生忘れられない。
本当に現体験したいライブだ。
ジャコも、ブレッカーも、ドン・アライアスもあの世の人になってしまい、
もうこの面子はあり得なくなってしまったのは、無念の他言いようがない。
Blue
とりあえず顔が怖い。ジョニは他にも山ほど大傑作があるからブルーが最高傑作というのには同意できませんね。いやもちろんこれも大傑作なんですけど。全編アコースティックでアコギ、ピアノだけ。なのにこれほどまでに瑞々しく繊細で情熱的で軽やかで…どんな賛辞をつくしても足りませんな。この人のアルバム聞いた後って超上質の映画を観たような気になる。内容濃すぎなので。でもお願い、ブルーだけがジョニだけじゃないんだよ。それだけは分かって。
ラスト・ワルツ(特別編) [DVD]
2012年4月19日、ザ・バンドのリヴォン・ヘルムが死んだ。71歳だった。追悼の意味を込めて久しぶりに「ラスト・ワルツ」を観た。
全然、気にしていなかったのだが、何とこの作品の第1曲目(実際はアンコール曲なのだが)がリヴォン・ヘルムもヴォーカルをとっている「ドント・ドゥ・イット」から始まるではないですか。公開当初はまだザ・バンドのヴォーカルはロビー・ロバートソンという意識が強かったが、その後リヴォン・ヘルムのヴォーカルに魅了された。そのリヴォン・ヘルムを含めたザ・バンドの魅力を堪能できる作品だ。
この作品、マーティン・スコセッシ監督がボブ・ディランのバックバンドをやっていたザ・バンドの解散コンサートを撮ったことでも有名だが、その語り口も全く自然で、この手の音楽ドキュメンタリーに良くある監督の独自の勝手な感覚に引っ張られることなく最後まで楽しめる。
ザ・バンドだけでなく、ボブ・ディラン、エリック・クラプトン、ニール・ヤング、マディー・ウォータースなどゲストミュージシャンも素晴らしいところも見物。
でも、この作品の解散コンサートはツアーに疲れたロビー・ロバートソンが勝手に企画したもので、のちにリヴォン・ヘルムは、「そんなもの全くやりたくなかったし、まだツアーを続けたかった」と語っていることからメンバーの総意ではなかったのかと知ってちょっと複雑な感情を味わったこともこの作品の想い出でもある。
特典映像で出演者達(ゲストも含めた)が勝手にジャム・セッションを始めるシーンが記録されている。これがまた素晴らしい。12分の演奏記録だがこれだけでも最高だ。
リヴォン・ヘルムの死をきっかけに、改めてこの作品(このDVD)を見直してみても良いのではないだろうか。ザ・バンドのファンでなくても何かを感じられる作品であることは間違いないと思う。