大仏開眼 [DVD]
再建された大極殿などピッカピカのロケ地のなかを天平貴族が動く歴史絵巻として面白い、3時間に収めるにはエピソードが豊富すぎる時代で省略が多いのが残念だが、時代の波のうねりに立ち向かう勇敢な人物たちが感じる無常観は十分に描写されているとおもう、
石原さとみは今が盛りの絶世の美貌、主演の吉岡秀隆はいまやライバルのいない主演男優としてまるで若き宇野重吉!のおもむき、高橋も何を考えているのか腹が見えない人物がなかなか上手い、おそらく大伴家持を全体の傍観者として描き、要所要所で家持に一首読ませる演出もアイデアとしてあったろうとおもいますが3時間ドラマに家持のエピソードまで盛り込むのは時間不足でしょうね、仲麻呂の乱の時代は孝謙天皇&道鏡の全盛時代なのですがやはり時間不足だったからでしょう、道鏡は登場しません、私は未だ見ていないが本作の前に聖徳太子・大化の改新と製作したのだから次は壬申の乱から藤原不比等の時代を万葉歌人を主人公にしたドラマ化期待してます、
たとえば次のあげる主要登場人物の生年没年(西暦)を知っておくとこのドラマの先にある奥行きが楽しめます、
行基 668−749
橘諸兄 684−757
吉備真備 695−775
聖武天皇 701−756
藤原仲麻呂 706−764
孝謙天皇 718−770
聖武天皇と藤原仲麻呂は吉備真備より年下、孝謙天皇と真備の年齢差は23、真備が仲麻呂の乱を平定したのはなんと69歳(昔だから数え年70歳!が正しい)となります、そして孝謙天皇即位は31歳で結婚できない女帝の哀しさを演じるには石原さとみは若すぎる美人となり、実際の年齢相応なのは草刈正雄演じる橘諸兄、ちなみに行基を演じた俳優は唐招提寺に残る行基像によく似ています、
いまでもよく文武両道という言葉を使います、現在では文は勉強を武はスポーツをさし「我が校は文武両道が自慢です」などと使われることがほとんど、こんな自慢を聞くたびにのんきな時代でいいよな、と思ってしまいます、 かつて侍が現実に生きた時代の文武とは各藩の藩校で若き侍たちが日々研鑽したことであることはいうまでもなく、たとえば白虎隊が何を学んでいたかは歴史ファンに評判の悪いジャニーズのドラマでさえ省略なく描かれていました、
文武の文の理想は菅原道真、武の理想は坂上田村麻呂と考えればよいのですが、文官としても軍人としても奈良時代最高の秀才だった吉備真備は実は知名度と人気が低いだけで日本史上で文武両道を真に極めたまれな偉人であることをこのドラマに興味を持った人には知ってほしい、
本ドラマの背景として、
大化の改新以降の律令制国家は水田はすべて国家が国民に貸与したという水田の私有を認めない世界史に先駆けた事実上の準共産主義国家だった、橘諸兄は墾田永世私財法を作り、つまり水田の個人所有を認めたことにより、現在に続く国家繁栄の基盤を作ったのに歴史的評価も人気も低い、(当時も水田を除く畑などの耕地や家屋敷は私有されていた)、なお橘諸兄の息子奈良麻呂は父死去の年に反乱を企て藤原仲麻呂によって橘一族は滅亡させられます、東大寺大仏造営で国が疲弊したことの記録としてよく引用される「東大寺をつくりて人民苦辛す」は奈良麻呂が捕縛後の取調べで述べたことばで、この方面の描写に時間をとるとこのドラマの性格が変わってしまうことになります、
大化の改新以降の律令制国家は国を治める基本が儒教となり仏教は重んじられているとはいえ聖徳太子の時代とは雲泥の差が生じていたが、聖武天皇(&光明皇后)により再び仏教を最上とするようになった、大仏開眼はその象徴的な大イベントだったわけです、ところが孝謙天皇が即位し仲麻呂の全盛時代がおとずれると儒教を再び第一とすることに変更されてしまうめまぐるしさがこの時代の歴史を知ることの面白さでしょう、藤原仲麻呂は晩節を汚した印象は強いが彼の政治上の業績・功績は否定しようがなく奈良時代第一の大政治家の一人です、
このレビュウを書く前に思い出したので手塚治虫「火の鳥鳳凰篇」を読み返してみました、手塚が時代がそうさせた圧力があったとはいえずいぶんと赤い発想で物語を作っていたことを再認識しましたが、本作とはそれぞれの人物像にずいぶんと相違があり(橘諸兄はもろに悪人)あらためて歴史描写の難しさも再認識させられました、
東京S黄尾探偵団 史上最大の作戦(前編) (東京S黄尾探偵団シリーズ) (コバルト文庫)
ジゴロウが解散宣言を出してからモヤモヤした物を抱えて見た目何時もどうり保健室にたまっていたメンバー。ミサオの提案で行った美術展で久しぶりにジゴロウと再会した。そこに展示されていたイコンにジゴロウが異様な関心を示す。だが、その画家の娘とそのイコン画が消える・・・。そしてメンバーに依頼する「その娘、そのイコンを見つけてくれ」と・・・。今まで明かされなかったジゴロウの過去、そしてイエローテールの最後の大事件が幕を明ける・・・。
今回はもう最後・・・と言う残念さで☆3つです
なぜ桃太郎はキビ団子ひとつで仲間を増やせるのか?~儲かる会社は知っている! ~
「ビジネス本はいっぱいあってどれを読んだらいいかわからない」と言っている社長さんは是非これを読むべきです。いや、社長さんじゃなくても是非読んで下さい。実例がいっぱい載っておりビジネスのヒントがたくさんあります。著者の実例も非常にユーモアに満ちています。こんなに自分をさらけ出している著者も珍しいのではないでしょうか?
キビしいのである (ジュネコミックス)
まだ山田ユギさんが靫かりし頃の作品集です。殆どの初出が同人誌というちょっと変わった1冊ですが、やはりユギさんの作品だけあって、全編話がしっかりしていて読み応え十分です。
特に私は『チューズ・ミー』シリーズが大好きです。
もどかしさと切なさを描かせたら、きっとユギさんの右に出るものはいないはず!!
…最近の作品に至るまで、色んな脇役・主役が入り乱れて、微妙に重なってる部分がイイかな。
あ、こんなところにこんな人が!的な発見は別な意味楽しいです。
『見せ場』に頼りがちなBLの中では、そういった意味での『見せ場』には迫力がないかもしれませんが、人間VS人間のぶつかり合い…という真剣勝負ではピカイチだと思います。