面白南極料理人 (新潮文庫)
南極と言う題材で思わず手に取ってしまいましたが、標高3800m、マイナス50度以下
が当たり前と言う世界は、常人では当然経験しようがなく、そのおかれた環境の異質
さで、熱心に読んでしまいました。
ただ、作者の西村氏は本職の文筆家ではないので、読み物として考えると、構成含め
しんどい部分は多々あります・・・
その辺を許容でき、自らの知らない世界を知りたいと言う方にはお勧めだと思います。
私は著者の悪文には辟易としながらも、マイナス50度以下の世界の生活はやはり魅力
的で、結局最後まで読んでしまいました。
と言う意味ではお勧めなのかな?
Dramatic Songs(DVD付)
「東京〜」で初めて知ったのですが、既にこんな素晴らしい作品があったとは!
なんというか、甘いようでハスキーな癒し系で、不思議な声ですね。そのうえ美人さんなので、言うことなしです。ピュアなパーソナリティーを想起させる、連関させる歌詞とも合っています。ところそのうち、一発どでかいのをあててほしいと個人的に思いましたが、十分なスマッシュヒットでした。
雷桜 スタンダード・エディション [DVD]
若手俳優の演技力を測るのに、時代劇は一つの試金石になる。その観点からすれば、本作の主役・準主役の岡田将生、蒼井優、小出恵介は上手い。邦画の将来を託すにふさわしい実力の持ち主だと思う。
特に蒼井優は動きのある役が似合う大器だ。本作でも野生児を好演している。
母の愛を知らずに育った者同士があまりにも身分違いの恋に落ちる物語。超えられない壁を前にしてのたうちまわる男女の姿は胸に迫る。
そして、本作は自然美にも目を奪われる。森、広々とした草原、そして雷桜。台詞にもあるあるが、吹き抜ける風の気持ちよさを感じる映画だ。
脇を固めるヴェテラン俳優では、柄本明が大熱演。私は「池畑慎之介」が好きだが、本作でも少ない出番で、きちっといい仕事をしている。
名人誕生―面白南極料理人 (新潮文庫)
「面白南極料理人」「面白南極料理人 笑う食卓」に続いて西村さんのこの本を読んだ。「名人誕生」というタイトルが示す通り、初めて南極観測隊に選ばれて第30次隊に参加することが決まる過程、日本での訓練、しらせでの航海生活、そして昭和基地での生活の始まりから夏隊との別れまでをとりあげている。リング3部作にたとえていうなら、リング0のように時間を巻き戻して「名人誕生」に至るまでの面白エピソードが語られる訳だ。
西村氏の南極観測隊参加史としては時系列的にいえば一番先に来るべき作品といえるが、いい意味でアバウトな著者であるから、観測隊用語で既刊の2冊に登場するものは詳しく説明されていなかったりすることもある。レシピの紹介はごくわずか(それも「笑う食卓」掲載のものと重複)。出来事を時間順に追っていく点では第1作と共通する。前2作と重なるエピソードはほとんどないから、それらを楽しめた人は本作も楽しめると思う。私は、日本の公務員のお役所仕事への反撃が特に興味深かった。
それと第30次隊・昭和基地限定の「ほぼ毎日南極新聞」である「ANTARCTICA30」の一部をそのままのせており、リアルさ満点。この続きは絶対に読みたい。本格的な第30次隊としての越冬生活はto be continuedのようだが、続編が出るんでしょうね?
なお、著者の文体も確立されてきたようだが、椎名誠氏と似たものを感じるのは気のせいか? 最後に、解説執筆者は映画「南極料理人」を監督した沖田修一氏である。
マハーバーラタ ナラ王物語―ダマヤンティー姫の数奇な生涯 (岩波文庫)
大叙事詩『マハーバーラタ』に登場するユディシュティラ王は、
賭博で大負けて王国全てを失い、森の中で暮らす破目に。
そんな時、彼は聖者から同じ境遇に陥ったナラ王の物語を語って聞かされます。
それがこの物語。
注が少なく、ときどきよくわからない固有名詞もありますが、
話の筋には影響ないので問題ありません。
訳も美しい日本語なので読みやすいです。
インド人なら誰でも知ってる話なので、
インド理解に一読してみるのも良いでしょう。