Transcriptions 2
フェルッチョ・ブゾーニ(Ferruccio Busoni 1866-1924)はイタリアの作曲家・指揮者でピアニスト。作曲はヴィルヘルム・マイヤー(Wilhelm Mayer 1874-1923)に師事している。ピアノの巨匠演奏家でもあった彼は、ピアノ及びピアノを含む作品を多く残した。初期はバッハ、シューマン、メンデルスゾーンの影響を感じさせるものが多いが、その後、ブラームスの影響も目立つようになり、最終的にはリストやワーグナーに対抗する伝統的な様式感を尊重したスタイルに至った。現代では、ブゾーニの功績は、オリジナル作品ではなく、過去の作品のピアノ譜の校訂と編曲にあると言えるだろう。とはいえ、一昔前には、その「編曲作品」ですら正当な評価を受けられないことがあったように思う。しかし、このアルバムを聴けば、これらの編曲が立派な芸術作品であることは、疑う余地がないだろう。
当盤はブゾーニの編曲に光を当てたニコライ・デミジェンコ(Nikolai Demidenko)によるバッハ作品のブゾーニによるピアノ編曲第2集。収録曲は以下の通り。
1) 幻想曲、アダージョとフーガBWV.906
2) コラール「来たれ、神にして創造主なる御霊よ」BWV.667
3) コラール「目を覚ませと呼ぶ声が聞こえ」BWV.645
4) 前奏曲とフーガ ニ長調 BWV.532
5) 前奏曲とフーガ ホ短調 BWV.533
6) コラール「主なる神、いざ天の御門を開かせ給え」 BWV.617
7) コラール「アダムの堕落によってみな朽ちぬ」BWV.637
8) コラール「あなたのうちに喜びがある」BWV.615
9) コラール「われらが救い主、イエス・キリスト」BWV.665
10) シャコンヌ
録音は、これらの作品群にあらたな魅力を吹き込んだ記念碑的第1集以来10年ぶりの2001年。
やや遅めのテンポを主に歌い上げたコラール集が美しい。「目を覚ませと呼ぶ声が聞こえ」「アダムの堕落によってみな朽ちぬ」「われらが救い主、イエス・キリスト」の3曲は強く印象に残る。これらの作品ではピアノという楽器の音色の絶対的な美しさを極限まで引き出した感があり、ブゾーニの名編曲に応える仕上がりだと思う。
また、両端に収められた「幻想曲、アダージョとフーガ」と「シャコンヌ」も見事。幻想曲は冒頭から音楽の鮮やかな勢いが途切れることなく細やかに紡がれていて瑞々しい。また中間部のアダージョの荘厳さはピアノらしい音程の確かさを伴って、直線的な美観をまとっている。末尾のシャコンヌはいまや一般的なレパートリーとなった作品だが、デミジェンコは遅めのテンポでじっくりと弾いており、適度な強弱により弛緩のない緊張感を保っている。やや鋭角的な和音の響きもあるが、バランスのよい録音で、中庸の暖かさが得られているだろう。これらのブゾーニの編曲の真価を示した録音として高く評価されるべきだろう。
プレイズ・バッハ
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バッハ=ケンプ ピアノのための10の編曲
バッハの作品をピアノ用に編曲する試みは古くから行われているが、現在広く演奏されているものは、ほぼ19世紀末から20世紀にかけて編曲されたものである。特に有名なのはフェルッチョ・ブゾーニの「シャコンヌ」や「トッカータとフーガ」、あるいは「オルガン前奏曲集」であり、これらは度々コンサートなどで取り上げられる。
ドイツ・ピアニズムの巨匠であったヴィルヘルム・ケンプも編曲作品を残しているが、知名度ではブゾーニのものに劣る。ブゾーニが編曲にピアノの超絶技巧の限りを尽くしのに対してケンプはむしろ原曲に忠実に編曲したし、また大曲ではなく小品を好んだというのも、地味に感じられて注目されにくくなる原因なのだろう。いくつかの作品は高橋悠治やタチアナ・ニコラーエワの録音があるが、まとめてレコーディングされたり、コンサートで取り上げられたりすることは無い。
だがこの本に収められた曲(ケンプの編曲作品の全て)を見てみると、「シチリアーノ」や「目覚めよ、と呼ぶ声あり」などよく聞く曲にも編曲があり、実際に弾いたり聴いたりしてみると、小品とは言っても非常に大きな魅力を持っている。しかもブゾーニの編曲と違い、比較的簡単に(中級程度で)弾くことができるのも利点だ。ちなみに「主よ、人の望みの喜びよ」の編曲も収録されているが、これにはマイラ・ヘスの有名な編曲がある。
収録曲の中から1曲推薦するなら、オルガンコラールの「あなたの道をお選びなさい(わが心からの望み)」が良い。宗教曲なので遠ざけられることが多いが、曲自体も美しく、また重厚なオルガンの響きをピアノで上手く生かせるような編曲がなされている。
バッハ:イタリア協奏曲、他
2曲目「イエスよ,わたしは主の名を呼ぶBWV639(ブゾーニ編)」を聴けるだけでも、とても価値がある。
もともとオルガン曲でそれでもめったに演奏されないが、ピアノ編曲になるともう砂場の一粒程度。W・ケンプがたしか弾いていたが、録音がひどく、演奏もよくない。
このブレンデルの演奏はみずみずしいテンポの「イタリア協奏曲」の次だからか、とても、しっとりとした聖香が感じられ、名曲のほどがよく伝わる。
Busoni: Toccata and Fugue in d Minor and the Other Bach Transcriptions for Solo Piano
ブゾーニはバッハのピアノ以外の楽器のための曲をピアノでも弾けるように編曲した。ここに収められているのはブゾーニ編曲と聞いてすぐ思いうかぶ「シャコンヌ」や「トッカータとフーガニ短調」「トッカータ,アダージョとフーガ」そしてオルガンのためのプレリュード集がある。バッハを編曲した人はたくさんいるが、ブゾーニは華麗な技巧を披露できるよう速いパッセージや和音を付け加えており、そのため人気があるのだろう。それぞれ1曲ごとに買うと輸入楽譜(ブージー&ホークス社など)でしかも高いので、弾きたいと思った人はこの1冊にまとめられた楽譜をおすすめする。