永遠の仔〈下〉
現在の世の中の問題が、ギュウッと詰まったような本。世の中のニュースを騒がしているのは、多かれ少なかれ、この本に書かれているような問題を含んでいるのかもしれない。また、自分が世の中を生きていくうえでも参考になる部分は多く含まれているのではないか。
自然の描写にもとても感動した。人が自然と一体になるというか、とても清々しいものを感じられた。実際、登場人物の立場になったときは、清々しいなんて言ってられないのかもしれないが、ある意味うらやましかった。けど、読者にそういう風に思わせられる環境だから、その自然と一体になる場面での出来事が成立したのかもしれない。
嘘は生きていく上での知恵でもある。その知恵も使い方を誤れば、傷を生む。そんなのは童話レベルかもしれないが、意外と理解できているようでできていないのではないか。そんなことを上手く、しかも複雑に、複雑でありながら分かりやすく、語られているようでもある。
上下巻合わせて、とても長い物語だが全く飽きることなく読めるのは、なぜだろう。始め本を開いた時、読むのを臆するかもしれない。実際、arloも本の厚さ、字の細かさ(多さ)にはためらった。だが、いざ読んでみると集中して読むことができるので、あまり時間もかからなかったように思う。そんなことより、この本を読むことによって体感できることの方がよっぽど価値のあることのように思う。読み終わったあと、自分自身が強く生きていく意志をしっかり持つことができたこと。また、幼少年への虐待、少年犯罪が減ることを強く願ってやまない。
永遠の仔〈5〉言葉 (幻冬舎文庫)
児童虐待がテーマで
涙なしでは読めない作品。
ハッキリ言ってすごく重い作品。
その他にも、アルツハイマー、介護問題、等
決して他人事ではない問題も描かれていて。
こういう話、今の時代
きっと現実でも起こっているんだろうなぁ…と思うと
哀しくて辛くて切なくてたまらない気持ちになってしまう。
かなりの長編だけれど
感情移入してしまうので、全然長さは感じず
一気に読み進むことができた。
読み進むうちに
10年ぐらい前に見たドラマのシーンが
頭の中に浮かんできて
ドラマの内容なんて忘れていたはずなのに
それぐらい印象に残ってた作品だったのか、と驚かされた。
後書きに書かれていた
「子」ではなく「仔」にした理由。
それを読むと、また涙があふれてきた。
「優希」も「笙一郎」も「梁平」も
本当に存在していたような錯覚に襲われる。
本編の最後の2行
声を大にして3人に伝えてあげたかった。
もう一度見てみたくて
ドラマのDVD借りました。
またじっくり観直そう。
疾走 上 (角川文庫)
自分の読みたい小説を選ぶポイントは大きく分けて3つあると思う。
“タイトル”、“作者名”、“設定・テーマ”の3つだ。
僕がこの小説を手にした理由は間違いなく“設定”である。
普段作者名やタイトルやエンターテインメントを考慮して
選んできた僕にとってこの小説との出会いは“設定”であった。
下巻のキャッチに書かれた“誰か一緒に生きてください”の文を見つけたときに
上下巻ともに買うに至ったのである。
上巻は家族それぞれの心理描写が中心に描かれている。
不思議なことにシュウジに、そしてシュウイチにも感情移入することができた。
文章の一文一文が鋭く、キラキラと光り輝いています。
重いテーマですがタイトルの疾走の如くリズム感をもって読むことができた。
彫刻家・舟越桂の創作メモ 個人はみな絶滅危惧種という存在
知的な印象のその人を見かけ、昔から知っているような気がして話しかけてみると、はたして知らない人だった。それどころか、なかなか心を開いてくれず、近づけない。ただ少し時間が経つと、その人がぽつりぽつりと話す言葉がすっと飲み込めるようになる。昔からその人を知っていたのではなく、その人が自分のことをずっと見ていたのだ。
舟越桂のつくる人に、いたるところで出会う。出会うたびにそんな印象を持つ。
本書に、手書きの断片が多くおさめられている。
「私は知性に姿を与えたいのか?(四捨五入のような言い方だが)05,7/5」
「人間の存在の解釈を加え、その解釈に姿を与えたという事だろうか?「異形」について、06,11/6」
素材に何かを見出し人の姿を与えている彫刻家が、そもそも自分が何に姿を与えているのか自分に問いかける。おそらく創作はそのような順番でしかなされえないのだ。
永遠の仔 DVD-BOX
過去のレビューにもありましたが
はじめから重い・・重い・・・・内容も映像も・・
私も、あの中の一人とちょっとかぶったような幼少期だったので
ものすごく気持ちが分かりました。
そして凄く泣いたのを覚えています。
子供はなんら悪くないんですよね・・
親になるまえに一度みておくべき。そしたら
こんなことは絶対に出来ない。
人は子供の魂を持ったまま大人になる。
それが永遠の仔という意味ではないか?
と最終回を見た時感じました。(本来は違ってたらすいません。)