ヒストリー・オブ・ロックンロール コレクターズBOX [DVD]
ロックはなんとなく好きだけど歴史や分類には詳しくないレベルの入門者にとって、ロック史上の人物が演奏し、語り手として登場する映像が観られる本作「ヒストリー・オブ・ロックンロール」は、初めの一歩的な作品として重宝するでしょう。確かに、演奏シーンやインタビューが細かくカットされているために集中力や関心をそがれる部分が一つの欠点として挙げられますが、多くの方はこの DVDをきっかけにして各ミュージシャンの作品を視聴することになるので、そういった機会を与えてくれる点でいえば、本作は全てのロックファン必見でしょう。
何度も楽しめる作品なので、ロック好きでこの BOXに興味を持ったら、即買いして間違いないと思います。
ペット・サウンズ (新潮クレスト・ブックス)
作者のジム・フシーリの
偏愛的ビーチ・ボーイズいや
ブライアン・ウィルソンの『ペット・サウンズ』論。
ブライアン・ウィルソンの自伝を読んでいる小生には
目新しいものはあまりなかったが、
村上春樹の訳(歌詞を含む)がよく一気に読めた。
本文より訳者のあとがきの方が面白かった。
以前、村上春樹はドストエフスキーの
『カマラーゾフの兄弟』で断言していたが、
それと同様に『ペット・サウンズ』も断言している。
「世の中には二種類の人間がいる。
『ペット・サウンズ』が好きな人と好きじゃない人だ」と。
ウォーターボーイズ スタンダード・エディション [DVD]
これもまた気持ちが熱くなるような作品。
「男のシンクロ?」
これはうまいキャッチコピーですよねー。
気持ちをググッと引きますモン。
美人教師がきっかけで始めたシンクロ部。
しかし教師は産休、文化祭の出し物としても危うい立場に。
しかも部員はシンクロはビギナー!一人は泳げない始末!
危うし!ってことで、謎の魚屋さんに誘われるように水族館で住み込みアルバイトをかねた合宿を行います。
マスコミでも取り上げられて何気に話題に。
当日トラブルにより、付近の女子高にてシンクロ部は花咲く!
この時のシンクロが本当に面白い!
見るものを引付けます。
使われている音楽もGoo!
「あなたのとりこ」と「DIAMOND HEAD」が素晴らしい。
それにしても妻夫木くんはなんというかキュートですなぁ。こりゃ人気があるのもわかるって感じ。平山あやも可愛いですね。
しかし、竹中直人はこういう映画では必ずキャスティングされてますね。幅が広い名脇役、渋い。
レコード・コレクターズ 2011年 12月号 [雑誌]
レコード・コレクターズ12月号は、史上最も有名な未完成アルバム、スマイルがオフィシャル・リリースされましたので、スマイル特集です。先ずは、肝心要のブライアン・ウイルソンのインタヴューです。ブライアン(彼ももう69歳)は、スマイルは、先鋭的、前衛的過ぎた。2004年まで発表すべきではなかった(ブライアン版スマイルの事か?)。また、今回のスマイルは、小さな断片の寄せ集めだ。ヴァン・ダイク・パークスとは気が合ったし、とても良い曲が書けたと思っていると述べています。しかし、ブライアンが余り気乗りしなかったのか、インタヴューは中途半端出に終わった気がします。
次いで、スマイル・ヒストリーです。1966年ペット・サウンズが発売され、レコーディングの際使用した、エレクトロ・テルミンに興味を持ち、これがグッド・ヴァイブレーションとして結実します。同じころ、ヴァン・ダイク・パークスと出会い、彼の米、近代現代史についてのユニークな持論、音楽的なアイデアに関する制約のなさに強くひかれ、ツアーからの撤退を表明していたブライアンは、持てる力を振り絞り、スマイルの製作に没頭します。しかし、ブライアンのドラッグ依存、暴走、ヴァン・ダイクとのトラブル、そして降板等が重なり、当初1966年クリスマスに発売が予定されていた物が、伸びに伸び、終に1967年5月に発売中止が公表されるに至ります。1988年ビーチ・ボーイズのリマスター盤が続々と発売されていた頃、スマイルも発売予定されていたようですが、これを妨げたのが、ユージン・ランディだったといわれています。そして、2004年にブライアン版スマイルが発売され、今回ビーチ・ボーイズ版のスマイルが発売され一応!!の決着が付くわけです。
私事ですが、ビーチ・ボーイズのレコードをはじめて購入したのは、スループ・ジョンB,ウィンディー等4曲入りのEP盤(アルバムは小遣い不足で買えませんでした)で、中三のときでした。その後、グッド・ヴァイブレーション、英雄と悪漢を購入し、スマイルを首を長くして待っていた記憶があります。
今号は、スマイル・コレクターズ・ボックスについての解説、スマイル関連音源発表の歴史等興味深い記事が満載です。ビーチ・ボーイズ、ブライアン、フアンの人には、超お勧めです。
昭和のエートス
エッセイだが中身が濃く、何度も読み返して考えることのできる本。
何よりも、いま世間を覆っている俗論に鋭く切り込んでいるところがいい。
特に、教育や大学の在り方がビジネス用語で語られる現状に、
強い危機感を表明している点を評価したい。
今、そういう人間は絶滅しかけているからである。
全てがビジネスマインドで語られるところに、
日本社会における最大の問題がある。
「教師は能力が高くなくてもいい」という主張などは、
「プレジデントFamily」に振り回されている親たちに、ぜひ読んでもらいたい。
今、こういうことを言える人間は貴重だ。
ところで、著者がこのような視点を保持していられるのは、
もちろん力量もあるが、一つには挫折を経験していること、
そして地方の女子大学という、権力から遠いところにいることも大きいのではないか。
お金と権力は人間を堕落させる。
世の中、うまく生きる人間や体制の御用学者が多すぎる。