ジャンプ (光文社文庫)
「ジャンプ」は、あるきっかけが彼や周囲の人たちの運命を変えてしまう物語だった。
初老の男性の場合は、「靴」だった。
彼の運命を変えたのは、「一杯のカクテル」だった。でも私は、「りんご」だと思う。
読み終わったあと、なんだか「りんご」が食べたくなって街に出た。
りんごが高かったので、バナナを買ってしまった・・。これもまた運命か?などと。
あなたは、「あのとき○○をしてなかったら、あのとき○○をしていたら・・」
などと思ったことはないだろうか?そんなことを強く考えさせられる物語かもしれない。
今、この瞬間も過ぎれば、過去。これからの未来に何が起こるかは分からない。
せめて未来を自分通りに切り拓いていこうか?
運命とは、目に見えるよう劇的には変わらなくても
一瞬の選択により、くるくると変わっているのかもしれない。
切り抜きをよくみると「ジャンプ」の帯には、
「自分で自分の人生を選び取ったという実感はありますか?」そう書かれていた。
この言葉に私は、興味をおぼえたのかもしれない。
きっとこれからも私は、平凡な日常で様々な選択をしていくのだろう。
水戸黄門DVD-BOX 第一部
いまちょうどCSのTBSチャンネルで放映中ですが(宣伝?)、さいしょは黄門様の頭巾が黄色じゃなかったり、誰得な黄門様の入浴シーンもあり、杉様とローマの休日風なエピソード、米俵に腰掛けて子供に叱られる黄門様などの定番も揃っています。脇役の質も高い。
小説の読み書き (岩波新書)
作中の「私」に着目して論じられている,大宰治「人間失格」と横光利一「機械」の章が特に”目からウロコ”ものでした。「人間失格」の主人公大庭と語り部の小説家は同一ではないかというアイデアは想像を超えてます。「薄気味悪い読後感」の原因「人間失格と指さされているのは誰なのか」という投げ掛けまで考えを導いていく手法はお見事。「機械」においては,横光氏が唱える「自分を見る自分」=「四人称」というものについて,実際の文中から分析を行っていて,興味深い内容に頭の中で完全に理解したいと三度も四度も読み返した程です。「書く」立場からの論考は「読む」作業しか行わない私のようなには,思いもつかないものばかりのようで・・・書店に平積みされているようなベストセラーなんか鼻で笑ってやり過ごしているひねくれ者のみなさん,必読です。
きみは誤解している
たまたま舞台が「競輪」になっていますが、ギャンブルを忌み嫌う人にこそ読んでいただきたい一冊。実に滋味深い短編小説集です。
ギャンブル好きの人(私も含めて)にとっては、自身のスタイルを見直す格好のテキストにもなるかもしれませんね。
特筆すべきは「付録と解説」。中身については触れませんが、読後、強く印象に残ること間違いなしです。さすが自称“あとがきの達人”です。