特等添乗員αの難事件I (角川文庫)
主人公の浅倉絢奈は中卒で就職すらできないニート。
出来すぎの姉のためにいつも肩身の狭い思いをしている。
ある出来事をきっかけに、ラテラル・シンキングを駆使して事件を解決していく。
現実のラテラル・シンキングはこのお話ほどの便利な能力ではありませんが、小気味よく解決していく姿は読んでいるとスッとします。
絢奈が解決するちょっとしたトラブルのコネタがクイズになっていてタメになります。
お話の中でもラテラル・シンキングを「ずるい考え方」だとする描写もありますが、料理人の包丁と同じで使い方次第で善にも悪にもなるということは賛成です。
詐欺師の思考法というのは、ちょっと言い過ぎかも知れませんが・・・。
今回は軽い紹介程度でしょうから、次回以降の頭がよくなりそうなストーリー展開に期待します!
万能鑑定士Qの事件簿IX (角川文庫)
モナ・リザさんが来日する…という、エピでした。
しかも、「震災」の復興という名目で…
さすがに、阪神淡路大震災、中越沖地震…じゃないですよね??
こっそり一行加えるというトリック?
めちゃめちゃ「最近」書かれた作品なんですね!
そういえば、先日(5巻)、喜屋武先生とパリに行った時、
偽物チックなものが、出てきましたが、
それが偽物だったことがしっかり裏づけされることになります。
…私が見ても、きっと感動しきりで、なんとも思わないんだろうなぁ…
さて、来日が決まり、日本から学芸員を選出することとなり、
案の定ですが、莉子が選ばれる。
そして、本物と贋作を見抜く力を学び、いざ本番へ…
しかし、モナ・リザさんの魔力に取りつかれた莉子は、鑑定能力を失ってしまった…
そこまで根深いトリックが仕込まれていたとは思いませんでした。
少なくともあの人は味方でしょう???と思ったのに。
そして、収監中のあの方とお供の2人も登場…
正直、サービスですね〜〜〜。
結局、最初のエピが重要だったと…
小笠原さんと一緒に解決することがずいぶん減って、残念だと思っていましたが、
やはり、いざとなると小笠原さんがいい味、出してくれます。
莉子の好感度なところは、
お金持ちじゃないってところかな。
一応、お店は構えたものの、儲かっているわけじゃないみたい。
(お金持ちだと、思い切り、僻みます…)
人が死なないミステリー…犯人は大抵、詐欺師。
詐欺も立派な犯罪ですが。
詐欺だからこそ、種明かしが面白いですね。
千里眼 [DVD]
日本映画でこんなにスリルのあるサスペンス映画を見ることができるとは思わなかった。基地のセットは5千万という大金のかけようで、なかなか緊迫感のある映画に仕上がっていると思う。また、ワイヤーアクションも取り入れ、マトリックス以上のアクションが展開する。原作も一緒に読めば楽しみは倍増するだろう。ちょっと残念なのが音響が2chっていうことだけど、それにも負けない中身の豊富さでカバーできていると思う。必見!
催眠 [DVD]
最近日本ではホラーブームが巻き起こっていますが、この作品も例外ではありません。この原作はいたって科学的で、この映画は原作とはクライマックスが違い、映画用に幅をきかせてありますが、とてもよくできた作品に仕上がっていると思います。原作と映画ではクライマックスも違うといいましたが、この後の続編(原作:千里眼 ミドリの猿)では映画、原作両方を科学的に上手く説明してくれています。だから、この映画は原作と合わせて見ると、楽しみが倍増されると思います。ぜひ、見てみて下さい。
万能鑑定士Qの事件簿IV (角川文庫)
筆のエンターテイナー、松岡圭祐の新シリーズ第四弾。
プレミアのついた映画グッズばかりが狙われ放火される事件が起こり、鑑定士として莉子は警察の捜査に駆り出されることになる。時を同じくして、一人の臨床心理士が捜査の依頼を受けていた。やがて、莉子はその臨床心理士・嵯峨と出会い、二人は協力して犯人を追うことになるのだが……。
やっちゃったなぁ、というのが正直な感想でした。
松岡さんはシリーズをまたいだり、つなげたりするのが大好きな人で、これまでも「催眠」「千里眼」「マジシャン」「青い瞳のニューアージュ」とかをくっつけたりはしていたのですが、さすがにこれはないだろう、と思っていたのです。
が、やってしまいました。
今回、登場するのは「催眠」シリーズの嵯峨です。
で、問題の本編なのですが、残念ながら「催眠」シリーズのようにも、「千里眼」シリーズのようにも楽しめないものになっていました。
理由は簡単。小説のタイプが合わないからです。
「催眠」「千里眼」は、完全なキャラクター小説ではありません。そこには「大きな物語」や「大きな背景」があり、そして「心理学」という「大きな要素」があります。
ですが、今回のシリーズは明らかにキャラクター小説を目指した小説です。まず「キャラクター」ありきにして、そこから話を作っているとしか思えません。
この二つの小説が合うわけがないのです。
結果は思ったとおりで、とてもがっかりな出来でした。
面白くないわけではありませんが、決して上手くいってはいません。
こういう小説のコラボにありがちな結末にも、やっぱりなぁという残念な気持ちしか起こりませんでした。
たぶん、次からはもうやらないはずです。
※ほか、いろいろ。
・松岡さんの作品でオチが読めたのは僕は初めてでした。
・早く千里眼シリーズを復活してもらいたいものです。
・星は好きな作家の作品なので当てになりません。