バガボンド(33) (モーニングKC)
井上雄彦の作品はどれも素晴らしい。「バガボンド」と同様に、今も同時進行中の「リアル」も魅せられる作品だ。もちろん「スラムダンク」も素晴らしかった。絵の上手さ、ストーリー展開、主役に劣らない程見事に描かれている脇役達の造形/作劇の才能、どれも当代超一流のものだと思う。武蔵は私も吉川英治の原作も読んだが、違う解釈と言ってしまえばそれまでかもしれないが、耳の聞こえない剣の申し子小次郎、武蔵を愛弟子の最強の敵とする様鍛え上げた宝蔵院胤栄、剣の天才だが何か倦怠感ただよっていた吉岡清十郎、70人と本当に戦いそれを鮮烈に描ききった一条下り松の戦い。どれも作者の類い稀な創造力の結晶だ。原作読んだ時どうしても理解できなかった無様で情けない登場人物だった又八でさえ、彼の苦悩を見事に描ききっていると思う。ストーリーの邪魔にならないさりげないユーモアもうまい。彼の漫画を読むのは至福のひとときだ。残念なのは、ファンは皆そう思っているだろうが、新作が中々出てこない事だが.... (^^;)
ところで、井上雄彦がバカボンドで宮本武蔵及び、佐々木小次郎などの剣の達人を通じて描こうとしているのは何だろうか?私は、「剣の道を極める事は、スポーツの道を極める事と同じだ」という事ではないかと思っている。武蔵は晩年「五輪の書」を出して剣の道の心得を記した。基礎、技の鍛錬/研鑽、闘争心、囚われない心、流れるような動き、無我の境地、などなど、「五輪の書」をそんなに深くは理解していないけれど、これらはスポーツの教本、イメージトレーニングの本やスポーツのコーチが教えている事と同じではないだろうか?勿論剣の果し合いの負けは死を意味するので、そこはスポーツとは違う。が、剣の道の探求の果てに果し合いで死ぬ事は辞さないというのは、自分の全てを出し切った挙句、相手が優っていて敗れたとしても悔いは無いというスポーツマンシップにも通じる。私もテニスを少しやるので、分かる事が少しあって、「理にかなった体の動き・使い方」はラケットスピードを早め、パワーさえ生む。これを井上先生は追い求め描きたいと考えている事なのではないかと思う。最後の対決をどの様に描かれるのか、想像は難しいが、心底楽しみである。そのための前置きのストーリーも私は歓迎したい。
バガボンド(33) (モーニングKC)リアル 10 (ヤングジャンプコミックス)
ムサシ特別版 [DVD]
思っていた以上に笑ったしとても楽しめました。
キャストのみんさんが豪華なだけに素晴らしい作品になっています。
ベテランの方ばかりで演技は完璧でした!
五人六脚やダンスシーンがあって面白かったです。
3時間半の長い作品ですが、個人的には見飽きることはなかったです。
無駄な場面がなくて、でもゆったり時間が流れてて。
何度でも見たくなる作品です。
宮本武蔵 般若坂の決斗 [DVD]
予定調和を拒否し、常に予想を裏切る会話や展開でシーンが組み立てられており、意表を突く妙味にあふれた演出だ。
ラストシーンの錦之助の絶叫にも注目。この表情ができたから彼は東映のトップになった、と思う。
今夜、すベてのバーで (講談社文庫)
中島らも氏の作品が好きな私は,東京圏で氏の著名度が
関西方面に比べて極めて低いのにいつもビックリしております。
らも氏の急逝は,ショックでしたが,らも氏らしい最期であったと
私は思っております.
さて,この中島らも氏の”作家としての出世作”となった
「今夜すべてのバーで」。
最初のうちは,アル中の入院体験記か?と思うかもしれませんが,
最後に全てをまとめあげる,主人公の小島と医師の対決は
感動的ですらあります。しかもその対決は突然やってくるのに
作品全体としては大きな流れを失っていない。素晴らしい作品です。