バッハ:パルティータ第1番他
DSDリマスタリング/ルビジウム・カッティングされる前の旧盤のときから、バッハの鍵盤楽器をハープで演奏する組合せの斬新さとハープの典雅な響きでお気に入りだった作品。ただし、旧盤はマイクが拾った演奏時のノイズが耳につく箇所が多かった。それに対し、本作品ではそのようなノイズはパルティータ第1番終盤等に少々残っているけれども、全体を通じてほとんど気にならない。ハープの美しい音がより前面に出て、ハープの弦の振動を伝える温かい空気の質感が伝わってくる。ハープの作品としても一級だし、バッハの鍵盤作品の最も優しい入り口の一つだとも思う。と言って本作は決して底が浅い作品ではない。イギリス組曲第2番はグールドやアルゲリッチのピアノの名演があるから、それらと聴き比べるのも楽しいし、小難しいことを考えずにハープの音色に聞き惚れるもよし、本作をきっかけにしてバッハの音楽の玄妙さに心撃たれるもよし。多様な楽しみ方ができるお薦めの作品です。
華麗なるハープ名演集
他のCDにでてない吉野さんの演奏が聞きたくて買ったので、そこは期待通りで大満足。しかしカップリングの人の演奏がよくない。4番で「編曲が陳腐だよね~」と不満に思い始め、きらきら星はもう最低。余計な音ががんがん鳴り響くし、いやーな金属音も何度も聞こえてきます。完全に選曲ミスでしょう。日本のハープ界の大御所だっていうならこんなの公に出すなよな・・・。吉野さんの演奏だけにしてくれれば星5つだったんですけどねぇ。
行正り香監修 バッハ for DINNER&DRINK~静かで心穏やかなディナーとお酒に
なじみのある良い曲が、一流の演奏者が奏でているのでお得な一枚。夜のくつろぎタイムや、食事中に聞いています。バッハの曲はシリーズで買うと長いのですが、これはバラエティーに富んでいるので飽きさせません。でも全体として選曲に統一感があるので聞いてて心地よいのがいいです。これを聞いてから、結局グールドの他のバッハや、吉野直子さんのハープを買いました。バッハが大好きな人も、初心者にもオススメです。
フォーレ:レクイエム(1893年版 ネクトゥー、ドゥラージュ編纂)
余分な贅肉を全て落とし、フォーレ円熟期の作品の中でも、特に晩年の清澄な精神の高みへの指向性を感じさせるこの曲を見事に演じている名演奏。ジャン・フルネは、その精神世界を見事に再現し、そして演奏者たちもそれを具現化するにあたり、見事にパフォーマンスを発揮している。特に、バリトンの鎌田直純は、ボリュームで押してしまいがちなバリトン歌手とは一線を画す繊細な歌唱で、フォーレの表したかった静寂な音楽表現を、日本人とは思えないレベルで唱いきっている。歌曲に限らず、フランス音楽を好む方々に超オススメの一枚。