KREMLINMAN
前作までにない往年のエレキギターのリフが心地よい楽曲が収められた
『KANのロックアルバム』…しかし、ちゃんとKANさんらしいピアノ曲
M2やM5、上質なPOPSのM4,M7などもありますのでファンの皆さんも安心。
アルバム全曲さらりと聴くとシンプルな楽曲たちなのですが、じっくり聴けば
メロディーやアレンジ、曲構成などの作り込みに『タイガーソングライターKAN』の
類い稀な音楽的センスの良さを感じる。
(例えば、M1からM3「ロック〜ピアノ弾き語り〜ロック」を継ぎ目なく
しかも歌詞世界を一気に飛び越えて聴かせる職人技には拍手!)
さらに様々なアーティストへのリスペクトっぷり(?)も楽しめます。
M5は『まるでスティービー・ワンダー』なハモニカのメロ(個人的には弾き語りver.の方が好きです)
M6は『まるでボン・ジョビ』なコーラス&リフ(ってコピーのカセットのCMが昔あったなぁ)
M8は『こりゃマッキー』…これは全て!(先に歌詞を見ないように。最後に、してやられます)
この流れは
アルバム「遥かなる…」の『JなBOYのあの方』を経て「カンチガイ…」では『パ○ューム』に到達(笑)
こういう音楽的な遊びを本気でやっている「無邪気なKANさん」と
もちろん、正統派POPSやバラードも「きっちりオリジナルなKANさん」。
そのどちらも見事に収める絶妙なバランス感覚をもってらっしゃる。
そんな屈指のソングライターっぷりを痛感させられるアルバムです。
クレムリン(3) (モーニングKC)
なぜネコが2足歩行なのか?
理由は簡単。
2本足で立たせてしまえば全身を書く手間が省けるからだ。腰から下は描く必要なし。
4つ足歩行だと全身を書いたり奥行きを考慮したりいろいろ面倒ですからね。
三匹のポーズも、全員が同じポーズか、誰か1匹が片手をあげてるか、1匹だけ変形してるか
それくらいくらいしかなく、全体的にコピペの嵐のような作りになっている。
なかでも特に注目していただきたい手抜きは41ページ中段の職安のコマ。
猫職業安定所の建物はネコの行列より奥に配置されてるはずなのに、建物の輪郭の線はネコの足の手前に来てしまってます。
これは作者がネコの足を一本一本避けて建物の線を描くのが面倒くさくなり、上から一気に定規で描いてしまったものと思われる。
もう線一本描くだけで面倒くさい。だるい。という作者の手抜きへの愛のあらわれである。素晴らしい。
それとパラパラめくって普通に読んでいたら破けてしまったページがあります。
これは紙質が悪いからこうなるわけで仕方ないのですが、古本になると相当の劣化が予想されるので新品を買った方がいいです。
3年もしたら微生物に分解されて朽ちてなくなってるかもしれません。
買うなら急いだ方がいいですよ。
クレムリン(1) (モーニングKC)
一読した後には「・・・アレ?」と思ったこの作品。
もしあなたもそう思っても、ため息と共にブックオフに持っていく前に、もう一度読んでみて下さい。さらにもう一度。そしてもう一度。
そうすれば、あなたはもう、この猫達を追い出すことはできないでしょう。
あまりにシュールなこの漫画は、一読するだけでは面白みが伝わらないかもしれませんが、何回も繰り返して読むと不思議な愛着が湧きます。
EXODUS
発売当初賛否両論だった問題作。
莫大な制作費とか宣伝費とか何とかメディアはあおりまくってたけど、
宇多田本人は関係なしに自由にやったって感じ。
その結果日本のメジャーではできないようなダークでセクシャルな売れ線ではない異質なアルバムになってる。
この両者のアメリカデビューの認識の違いがこのアルバムの正当な評価を妨げているような気がするなぁ。
好きな曲は
#2Devil Inside かっこよすぎ!私の中には悪魔がいる…かぁ。
#3Exodus04 Timbalandプロデュース。一番キャッチーだし詩も単純で分かりやすい。
#4The Workout 言葉遊びが楽しい。日本語詩がエロ過ぎて笑える。英語じゃないとできなかった曲。
#5Easy Breezy 一番の問題作!このイメージが強烈過ぎてアルバム全体のイメージが……なんだと思う。
何でこれをファーストシングルにしたんだろう。Exodus04でよかったのに…… でも癖になるね。
#7Hotel Lobby さびの疾走感がいいね。援助交際をこう表現するかぁ…
#8Animato ファンタジックな音の広がりがすてき。歌うことの決意を歌ってる。
#10Kremlin Dusk すごい!UTADA熱唱!ライブは凄過ぎ!
#11You Make Me Want to Be A Man PVかっこよすぎ!やっぱりPVって大事だね。Easy Breezy は… って感じだったからな。
#14About Me ギターでラストをしっとりしめる。
打ち込み中心のチープな感じが新鮮でかっこいい。
UTADA自身による洗練されていないアレンジが良い方に作用したアルバムだと思うな。
アメリカでは2万ぐらいしか売れなかったけど、世界で130万売れたらしいから(日本含めて)
契約は残ってるんだよね。2ndはリリースしないのかな?
クレムリン(5) (モーニング KC)
日常的に触れている漫画の中でよく描かれているものとして、悪戦苦闘しながらも成長したりだとか努力が実って成功だとかはよく見るが、5巻も続いているにも関わらずこの漫画には潔いくらいにそれが無い。まるで救いのない社会的弱者を美しく昇華した英国のロックバンド「THE SMITHS」の楽曲のように絶対的に孤高の境地であるが、否、戦うことをやめていない
今巻はいつものグダグダを描く堕落編、前巻から突如始まりライバルとの争いも苛烈を極める「資猫堂ビジネスウォーズ」を描く激闘編の二部構成。堕落編・激闘編を読み比べると作風が随分と違うところがあり、レンジが広がっている印象
堕落編では、樹齢半年の聳え立つ巨木をぶつかり稽古で倒したり、服飾評論家・ピーネコ氏に「こんなに人を苛立たせる灰色は2億年に3匹の逸材」と言わしめネココレ界に旋風を巻き起こしたり、アメショに主役を取って代わられたり、福引で当たったネコ島で再犯率100%を誇る猫走刑務所に連れていかれたりといつもの展開に取り敢えず安息・・・
そんな幸せの時間も束の間、後半の激闘編にてキャッツにまたしても戦慄。資猫堂Sチームの勝ち組・リア充の辣腕ジョブス山やIT長者へのえげつないほどの宣戦布告。瞳孔開いて「セレブに地獄を見せてやる」宣言、クリスマス・パーティーにZチームの面々と半裸で乱入し「火垂るの墓」を上映したり、月曜日の憂鬱を減らそうとサ○エさんを見なかったことにするサザエリミット開発、果てはバルサン方式で楽にあちら側へ行ける「ギロッポン心中」開発とやりたい放題。その殺伐とした悪辣ぶりは宛らピカレスクの古典のような崇高さすら感じる
屍肉を喰らう狼にならずとも、モンプチ喰らう猫であれ。更に言うならカレーを喰らう関羽であれ。醜く肥えたIT長者の豚にはなるな。猫は生きろ、豚は死ねの精神である
さらにジョブス山の秘書・アビシニアンの河村タカシ×3と関羽×3の血で血を洗うバトルも収録されている他、認定されて日が浅いマンチカン×アメリカンカールな新猫キンカローも登場する
目標発行部数である70億部は天竺より彼方だが、作者は東京写美の広報に続き新たにヤングチャンピオンで連載が開始されるそうだ。このままいけば、忠犬といえばハチ公・忠猫といえば関羽くらいにはなるかも知れない。ならないかも知れない。そんな革命を夢見て、今日もまた眠りにつく