戦争を伝える手段おすすめ度
★★★★☆
毎年8月になると、戦争ものの特別番組やらドラマが目白押しで、書店でも大きくコーナーを設けているところもありますね。
リアルタイムで戦争を語れる人が少なくなっていく中で、「戦争」の真実や悲惨さを知らない若者が増えていくのは致し方ないのかもしれません。積極的に血なまぐさい戦争物を知ろうとする人も少ないでしょう。
本書は現代の若者が、昭和19年にタイムスリップし、当時の若者が現代に来てしまうというストーリー。レビューでは「ウインズオブゴッド」のぱくり!との酷評もありますが、「ウインズオブゴッド」を知らない私は、新鮮な気持ちで読みました。そして、結構感動しましたよ。
生まれた時代が違うだけで、同じ19歳でも生きていくことの大変さがまったく違う。現代の若者にそこに気づいて欲しいというのが、作者のメッセージなのでしょう。
戦争を語るに、今後、本書のような読み物が増え、若者に手に取られることを願います。
笑って泣いて、そして考えてしまうおすすめ度
★★★★☆
これはとてもおもしろく、そして考えさせられる作品だ。
ストーリーはサーフィンをしている現代の19歳の若者健太と、1944年太平洋戦争中の霞ヶ浦練習航空隊で飛行訓練をしている吾一という若者が、タイムスリップで入れ替わってしまうというもの。
この2人の若者はほとんど一卵性双生児のように似ており、周囲も別人だと気がつかないほどである。そしてこの2人がそれぞれの時代で自分たちを取りまく状況に戸惑いながらも、必死にサバイバルのように生き抜いていく展開になっている。特に現代からきた健太のほうは、戦時中なので毎日理不尽なシゴキにあったり、人間魚雷回転で死に行くための訓練をするという事態にあう。
この作品のポイントは、過去と今の若者2人を置き換えることで、当時と現在という時代の持つ意味を、より鮮明にそして解りやすく知らしめたのではないかと思う。
現代の渋谷にきて叫喚地獄を味わう吾一。彼は思う、これが自分たちが命を捨てて守ろうとしている50年後の姿か?と。一方、健太が鴨志田とともに文子の家にいき、もてなしでふかしたサツマイモ、乾パン、石炭のかけらのような砂糖が出される。物資が乏しかった当時の精一杯のごちそうなのだ。しかし2人は手をつけずお茶だけを飲む。このシーンだけでも、二つの時代の深刻な問題の対比がわかると思う。
この平和な時代が、多くの犠牲を出した戦争を経て今あるということを、しみじみと感じさせてくれる作品。コメディチックな部分もあり、考えさせられる言葉もあり、泣かせるシーンもありお買い得です。
納得の出来
おすすめ度 ★★★★★
わたくしめもついに買いましたよ
。非常に洗練された魅力的なものになっていると思います。
ご参考になれば幸いです。大変お勧めですよ!!