若草の萌えるころ HDニューマスター版 [DVD]
旧版があまりにヒドイ画質なので、ニューマスター登場確実と思っていたら、案の定、出ましたね。旧版買っていて悔しいけれど、旧版より値段が安いので当然買います。アンリコ(監督)&ドルーベ(音楽)最高作と言ったらこれ。「冒険者たち」も「ラムの大通り」も「追想」もこれと比べたらかすみます。しかし「HDマスター」というのならなぜブルーレイで出さないんでしょうか。欧州では「軽蔑」や「去年マリエンバードで」や「昼顔」などの旧作名画が続々とブルーレイ化されているのに、ブルーレイを開発した国がこのていたらくというのは訳がわかりません。しつこいようですが、後からブルーレイ出してまた買わせる、というあこぎな商売なら、やめにして下さい。
The Catcher in the Rye
ライ麦畑でつかまえて・・・
という邦訳では、この本の本来のメッセージは伝わってこないと思います。ぜひ英語のまま読んで、Catcher in the Ryeっていうのはどういうことなのか、何なのかを、(読んだあなたが)自分自身で感じてください。
アメリカのティーン・エイジャー、そして学校、家族、兄妹関係、などがサリンジャーの簡潔でかつ分かりやすい文体表現で記されています。
初めて読んだとき、1ページ目から本をおくことなく全部読みきってしまいました。
アメリカ文化、そして児童(青年)心理に興味のある方にはなおお勧めです。
Piano Sonatas 1-32
今まで聴いたピアノソナタ全集の中で、これほど心から感動した演奏は
無いと思えるぐらい素晴らしいものでした。
独特の間の取り方をしているにも関わらずまったく違和感無く、
むしろそのことでさらに演奏に深みをもたらしています。
この全集を聴いていると、何か心に染みわたるような和やかな
気持ちになります。ベートーベンのソナタを通して、ケンプの
人となりを表している、そういう印象を受けました。ケンプ自身が
どのような性格だったのかわかりませんが、私は慈愛に満ちた
温かさを演奏から感じました。
ベートーベンのソナタが好きであると言う人は、ぜひ買った方が良いと思います。
すでに別のピアノソナタ全集をお持ちの方にもオススメです。
この全集を聴いて、新たなベートーベンのソナタ像というものが感じられるかもしれません。
Norwegian Wood
はじめて村上春樹に出会った日の感動を思い出します。リアリティから
微妙に位相のずれた次元を浮揚するあの感動。
夢の中で夢を見るような、人生で一回だけの100%の午睡みたいな。
多分この一冊で10万語程度はあるでしょう。
それを一気に読ませる卓抜な構成を、異言語で味わうって、
むちゃくちゃ新鮮ですね。
語彙的にはヘッドワード3000〜3800程度のgraded readerとほぼ同じでしょう。
使用頻度の少ない単語を読み飛ばしても、ストーリーはやっぱりHARUKIです。
英語学習者のめざす最初の高峰として是非お勧めします。
1Q84 BOOK 3
長年の春樹ファンです。最初に私の好きな作品を挙げると、「羊をめぐる冒険」「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」です。
まず独特の春樹らしい表現方法は健在で、言い回しや会話なども魅力があります。
結論、1Q84(特にbook3)に関しては、book2で終わったままにして欲しかったです。
春樹作品にしては珍しく読むのに時間がかかりました・・・。最初は「早く読んだらもったいない」でしたが、中盤から青豆と天吾にあんまり好感が持てなくなって速度が落ちました。
以下ネタばれ含みます。
book3では牛河さんに大変惹きこまれました。見てくれが悪くてついてなくて、でもその哀れっぷりが興味をそそり、「天吾」「青豆」の章より楽しめました。なので、最後ああいうかたちで死んだ時は大変残念でした。なんで死ななくてはならなかったのか、いや〜な気持ちにもなりました。まあそのへんはお話なので仕方ないですかね。
しかしながら、ふかえりも小松も教団のその後も不明のまま、不明というか、不明なら不明でいいのですが、放置したままというか、説明が難しいのですがまるでこのbook3はあとから付け足した物語のようで、細部までは考えていなかった、ラストまで無理やり持っていく・・みたいな、私はそんなふうに感じました。
そもそものところ青豆と天吾が元の世界にあっさり戻ってハッピーエンドという最後になんだか納得行きませんでした。教団のリーダーが、青豆が死なないと天吾が助からない、と言ってたのに、本当にあっさり・・・もうひと悶着あると思いましたのに。
青豆が天吾の子供を妊娠した時点で「う〜ん?」と強引だな〜思いましたが、信じた天吾もどうかと;
この展開とラストなら文庫で良かったな、と思いました。book1と2はハードカバーだからなんとなくそろえたいですがね(笑)
この値段で何冊の小説が読めることか・・・。