江戸川乱歩の黄金仮面II 桜の国の美女 [DVD]
この作品の前にまず、パート1である「妖精の美女」を見ることをおすすめします。
のっけからネタばらしをしてしまっています。
前篇後編の2部作と思いながら見るほうが良いかもしれません。
その「妖精の〜」以上に話の展開がスピーディーです。
最後のネタバレは、どういうことなのか一瞬本気で分かりませんでした。
ずいぶん複雑なことをやってのけています。
明智先生が想像している黄金仮面のイメージを支持するなら、
この作品は駄作なのかもしれません。
はっきり言うと黄金仮面、美しくないですから。
ただそれを差っ引いてしまえば、爽快度の高い良質な娯楽作品だと思います。
小林君のおとぼけと先生の突っ込みが、いいアクセントになっています。
波越警部のボケともども、吹き出す回数もいつもより多かったり。
戦時グラフ雑誌の宣伝戦―十五年戦争下の「日本」イメージ (越境する近代)
戦時下のグラフ雑誌を実際手に取ったことはありませんが、戦前・戦中の様々な資料や雑誌を以前読んだ経験もあり、普段あまり知られていないようなこの研究テーマに興味を覚えて読了しました。
筆者の井上祐子氏は、日本近・現代メディア史を専攻している研究者です。書かれた論文一覧を見ますと、戦前・戦中の報道やグラフィックス、漫画といったものに関心があり、本書もその延長線上でまとめられた論考を1冊にしたものです。
「アサヒグラフ」や「FRONT」、「アサヒグラフ海外版」、「太陽」「SAKURA」「NIPPON」といったグラフ写真誌を丹念に調査した研究成果が結実しています。これらの雑誌は、網版印刷やグラビア印刷の普及と共に人気を誇りました。10頁に書かれているように「写真自体の表現を工夫してフォト・ストーリーの形式と組み合わせることによって、グラフ雑誌は観念やメッセージを表現し伝達するメディアとなり、世界が第二次世界大戦へ向かうなかで有効な宣伝手段として利用されはじめる。」と指摘しています。
それを通して、副題にあるように十五年戦争下の「日本」イメージの解明に努めた論考の集大成だと思いました。第1章「『報道写真』とグラフ雑誌の黎明」から第7章「『東亜の盟主』のグラフィックス」、終章までを貫く問題意識の発端はここにあると思いました。
専門書ではありますが、当然多くの貴重な写真が転載されており、写真を眺めているだけで往時のイメージがつかめるようになっています。文献資料中心の政治史や国際関係史とは違う視点を持ったアプローチですので、興味を覚える人もあると思います。
「鬢多々良」/伊福部昭作品集
現在ではかなりの作品が様々な演奏版で聴ける伊福部音楽だが、
ここに収録された「鬢多々良」は、他に殆ど録音版が無い。
このレビューを書くつい先日に、この「日本音楽界の至宝」と言って
差し支えない作曲家の訃報を耳にした。
今後、新録盤が新たに出ても、そこに作曲者自らの演奏指示がなされる
事はもはや無い・・・
数々の邦楽器が使われた、20分を超える大作であるこの曲、結論から
言わせて頂くと、「素晴らしい!」の一言に尽きる。
平安時代、大衆と貴族の中間階層で親しまれた音楽舞踊というのが由来
との事だが、雅な叙情を湛えつつも、決して高飛車な曲ではなく、
聴いている間に肉体が動き出す、グルーブ感と表現しても構わない様な
エネルギーがそこにはある。
侘びと哀愁・大らかな平安庶民の(と想像できる)躍動感・見事な
動と静の対比・そしてクライマックスでのオスティナート!
伊福部音楽の持つ、日本神話的とでも言うべき蛮性と、格調高き
雅やかさがこれ以上は無いと言うレベルで融合しており、邦楽器を
使用した伊福部作品では、文句なしに代表作の一つに挙げられるのでは
ないか。
この曲を聴き、かつ今は故人となってしまった伊福部氏の生き様を思う
と、改めて「何と巨きく、そして偉大な芸術家」を日本は失った事か、
と残念でならない。
みんなのテレビ・ジェネレーション アニメ歌年鑑1981
「新竹取物語1000年女王」の2曲以外は、「名曲だけど目新しさがない」ものばっかりである。3社協同、さらに他のメーカーも協力しているのなら、この年に「新・ど根性ガエル」OP・EDを入れて欲しかった。とんねるず需要は今はそんなにないかもしれないが、この何にも工夫のないラインナップよりはましである。もっと柔軟に。名曲が多いので辛うじて星4つ。
そういえば、ダイオージャもこの年だな。なんで入れないのかな?
MIDORI NO HIBI MEMORY 2 [DVD]
1クール・12~13話放映の作品では、あまり多くキャラクターを出すとうまく処理できずに「出しただけ」になりかねないのですが、実は本作でも多少その憾みはあるかも知れません。それでも、本巻収録の中盤戦の単発エピソードに主人公以外のキャラクターを主役に据えた話を集中的に投入して、少しでも活躍の場を与えようという思いやりが話に反映されているのか、第7話や第9話はかなりの好作に仕上がっていて見ていて気持ちがいい。