森のテグー 1 (ヤングチャンピオンコミックス)
「森のテグー」は施川ユウキにとって新しいタイプの漫画だと思う。
顕著なのは舞台設定だ。「がんばれ酢めし疑獄!!」は無秩序にキャラが存在しベースとなるものはなかった。「サナギさん」は学校、「もずくウォーキング」は家族という集団が土台にあった。
この「森のテグー」での舞台は森の中の村。どこか閉鎖的ながら、今までより一回り広い社会である。その中には学校も家庭もあり、各キャラの関係性も友達、家族、村民、仕事仲間と様々だ。
さらに主人公のテグーはネコ。他にも動物たち、謎の生物も村民として生活しており、キャラモノの要素もある。
と、まるで過去の総括的な作品にも思えてくる。
村の生活を覗いて見ると、木の家に住み、青空の下で学んでいるという自然に溢れた暮らしをしている。そこはイメージ通り。
だが視点を変えれば。図書館や天文台などの研究的施設。また貨幣制度があり、町から行商が来るという文化の発達。村の名物である風車も、電力を売ることで村の財政を支えているという機能を果たしている。動物たちもやり取りだけなら人間と相違ない。
というように、非常に現実的な部分が浮き彫りになってくる。架空の社会を描くために、今まで描かなくても良かった設定が掘り下げられているせいだ。
何より奇妙なのが、村には人間もいることだ。森の外には当然、人間の村もあるはず。少なくとも電気を利用している文明が。となると、この未発達な森の存在は一体?
要するに、「森のテグー」は世界観から興味深い作品になっているのだ。
果たして、これは現代を舞台にしたファンタジーなのか。あるいは未来の物語なんだろうか。そして、この世界を通じて施川ユウキは何を描こうとしているのか。ゲラゲラ笑いながら、そんなことまで考えてしまう。これはファンシーな皮を被った問題作だと思う。
ついでに余談。
テグー父の名前はアンヒューマ。人間のハラダさんが彼を「アンヒューマさん」と呼ぶのがやけに引っかかるのだが。
ハナコ@ラバトリー(2)(完) (CRコミックス)
トイレ限定の地縛霊。 ちょっと変わった?明るい「トイレの花子さん」のお話です。 毎話ごとに色々なトイレに出没します。 とってもほんわかして大好きな作品だったので最終回を迎えてしまって、もう新しい話を読む事が出来ないのが悲しいです。 もっと続いて欲しかったです。
森のテグー 2 (ヤングチャンピオンコミックス)
1巻から1年以上待ったのに、もう完結。
施川ユウキの作品は何十回も読み直すものなので
もっと続いて欲しかったなー。
相変わらず日常のことをちょっと
違うところから見る視点と、
ファンシーな絵柄に合わない毒と、
癒しが渾然一体となっている。
ハナコ@ラバトリー(1)(CRコミックス)
いつも通りの施川作品です。会話の間や演出も同じ感じで、安心感があります。この人の作品にハズレはありません。
また本作ではシナリオに毎回どんでん返しがあって読みごたえがありました。
あと主人公の花子さんのキャラ設定は近年稀にみる良質なものになってます。
もずく、ウォーキング! 2 (ヤングチャンピオンコミックス)
オチが面白い。日常の意外性。
オチのない日常の一コマにオチをつけているのが凄い。
作者の観察眼から張り巡らされる考察網はやはりとてつもない。
純度に記号化された登場人物の表情がとてもいい。
単純なようでかなり絶妙な表情付けがされている。
そして喜怒哀楽がはっきりしている。鬱とは無縁の開放的世界。
これはすぐそこにある晴れやかな彼岸の世界だ。
サチちゃんのほのぼのかわいさが光る。
個人的にはサナギさんより好きだ。何より萌える。
スヌーピーじゃなくていい。
彼に憧れるのもいいが、
こんな近くにもずくという素敵な犬がいる。
考えることをやめたらおしまいだ。
感情を閉ざせば終焉だ。