勝利の朝 (小学館文庫)
塀内夏子さんの作品のファンですが、この作品を知ったのは、弁護士の吉峯康博さんのブログでの紹介でした。同ブログによると、本作は1993年初版であり出版当時は大手新聞社に取り上げられるなど話題を呼んだものの、現在絶版となっており中古市場でしか入手できず、少年事件の冤罪を無くすため、是非復刊させたいとのこと。最近の冤罪事件に係る世間での採り上げ方を見るにつけ、塀内さんが当時どの様に作品化していたのか興味が湧き、購入して読んでみました。
先ず、塀内さんらしく、相当資料を集めるだけではなく、恐らくは様々な方面への取材等をして自分なりに練り上げ作品としたのだろう、ということは分かります。「冤罪」が発生する状況や、犯人に仕立てられる人の心象風景等は極めて整理されて、読み手にストレートに伝わって来ます。吉峯弁護士が「冤罪を知らない方々への教材としたい」という想いも、理解できます。良作だと思いますので、こうしたテーマに関心のある方は一読をお勧めします。
しかしながら、現在においては、「冤罪」とは、警察や検察の無理筋のみに起因するものでは無い、ということは、最近の障害者郵便悪用事件等での現状を見れば明らかではないでしょうか。例えば、何故上記のような無理筋が出来上がるのかと言えば、起訴事件の99%超が有罪となる司法の機能不全、その土壌の基礎となっていると思料される法曹界・司法界・行政(賢察)界の一体化、等、日本の司法制度そのものが原因であることがそろそろ明らかになって来ていると思います。この作品が出版された17年前においては、ここまでの整理が出来ていなかったので止むを得ないことではありますが、現在においてはやや事象と捉え方が一面的に過ぎる印象が拭えません。
塀内さんの意欲作、力作ではありますが、購入される方はその辺を少し考慮し割り引いた評価をすべきかと考えます。
コラソン サッカー魂(2) (ヤングマガジンコミックス)
サッカーファンで塀内ファンの人には、間違いなく楽しめるマンガだと思います。
サッカーのテクニックがどうのこうの、という他の作品より、サッカー選手のサッカーに対する思いが熱く描かれているところが好きです。
早く次の巻を読みたいですね。
コラソン サッカー魂(5) (ヤングマガジンコミックス)
W杯にかける思いを描いた熱いサッカーマンガ。
W杯出場を賭けた戦いの重さがひしひしと伝わってきます。
脇役の登場人物がやや類型化している感じはありますが、型破りな主人公の魅力は捨てがたい。
サッカーというスポーツが、決してスマートなのではなく、泥臭い駆け引きや反則スレスレの
テクニックなども含めて成立していることも上手に描いています。
相手チームだけでなく、主人公も同様にアンフェアな部分がある。
そしてその主人公もW杯のプレッシャーを感じるときが…。
新刊が出るたび、既刊から読みなおしてしまう面白さがあります。
明日のない空 (ビッグコミックス)
無理心中で家族を失い、ただ一人生き残った母親の面倒をみながら、働いて定時制高校に通うサイチャン。
お金がなくて医者にもいけず、母親の命と引き換えのように生まれてきたガッツ。ガッツの父親は働きもせず、生活保護を受給中…ということらしい。
定時制高校に通う彼らが、背負っているものを振り切って飛べるのは、授業を終えて、一日の終わりのわずかな時間だけ。ハンドボールに打ち込むその瞬間だけが、生きていると感じる時。
負けへん、負けへん、負けへんで!真っ直ぐに生き抜こうとするサイちゃんに精一杯の声援を送りたい。どん底を生きるサイちゃんたち。見上げた空は高く青くて、光輝くものを、その手がつかみ取る日を待っている。
でも、サイちゃん、頑張り過ぎて、どこかでポッキリ折れたらあかんで。
コラソン サッカー魂(6) (ヤングマガジンコミックス)
いよいよあとが無くなった日本代表。
予選の最終戦を前にチームの中に生まれた不信感は払しょくされるのか…。
紅白戦でもあくまでシュートにこだわる戌井。
古典的FWなのだが、個性的な熱さでゴールを狙う。
そしてイラン戦開始。
チームの人間関係・試合のかけひきなど、
大人が読んで楽しめる内容の作品だと思う。