確かに、この作品に惹かれる理由は、たとえば、ジャン・ド・ベルグの『イマージュ』や、ポリーヌ・レアージュの『O嬢の物語』等に類する男と女のエロティック・ゲーム的ニュアンスにあるのかもしれません。しかもこの作品が素敵なのは、あくまでもそれをニュアンスとして抑制させているところでしょうか。喜劇性の中に垣間見ることができたエロティシズムの色と香りがそれはそれは素敵で美味しそうです。そんな味、知ってしまったら、・・・ それは、やっぱり、手放せません。
他の料理漫画とは一線を画すおすすめ度
★★★★★
他の料理漫画は料理の優劣で勝負をすることが目的であるのに対し、本書はあくまでも、主人公の李三と沈夫人の関係を表す寓意として料理が扱われている。
美味しんぼでさえ、料理が父親海原雄山と息子の確執やいがみ合う登場人物と勝負するための駆け引きの道具になっているが、本書はあくまでも、李三が沈夫人の期待に応える(喜ばす)ために、料理を一生懸命につくることが主題になっている。
李三が夫人の期待に応えるために、そして夫人が李三によりより料理を作らせるための関係は主従の関係というよりも、決して一線は越えないが、非常に性的なニュアンスを漂わせている。
もっとも、作者はこの性的な関係を出そうと考えたらしいが、作者はどうしてもコメディになってしまうことを悩んでいるようだ。
両者の関係性だけではなく、どんな課題を与えられようとも、過大なプレッシャーの中で主人の期待に応えようと、常にプロフェッショナルな料理人として、ベストを尽くそうと努力する李三には感心させられる。
そして、胃潰瘍になりそうな程の重圧を李三に与えて作らせる料理を食べる沈夫人の幸せそうな顔は必見。
李三と沈夫人のエロティックな主従関係は、子どもには決して理解できないであろう。ということで、人の優劣ばかりに拘らず、言葉にされない微妙な関係を読み取るのが好きな人に、お勧め。
細部まで妥協なし
おすすめ度 ★★★★★
届いてからずっと気に入っています
。とにかくこれは絶対買いだ!
買って良かったと思います。