強さおすすめ度
★★★★☆
「やれば何でもできる。夢も叶う。できないんじゃなくて、やらないだけなんだ。自分の力に線引きするのはやめよう。もっと自分を信じてやろう。」
著者、衣里子さんの力強い言葉を鏡にして、自分の弱さをみるようで、胸が苦しくなる。
「将来のことよりも、その将来を作ることばかり考えて、将来の夢だとか、そういう段じゃなくなってしまって、こんなはずじゃなかったのに…。」
普通の女の子が将来を考えられなくなってしまった悔しさに、読んでいて涙した。
2008年1月 ようやく「薬害肝炎救済法」が成立。原告として闘ってきた方々の涙。
実名公表した衣里子さんの毅然とした生き様に勇気をもらう人は多くいることだろう。
親しみやすい一冊おすすめ度
★★★★★
「薬害によってC型肝炎に感染させられていた」。この事実を20歳で知る事になりそれまでの生活が一変する。幼い頃から動物を愛し、植物を愛し当時から命への感心が強いのを感じます。自分の将来は無限に広がっている。まだある可能性を信じてヨーロッパを舞台に一人旅をする。そこで見た物や人との触れ合いで一回りも二回りも成長していく様は感動的です。そうやって手探りで生きながらようやく見つけた夢。その先に待つ障害はあまりに大きくまだ二十歳だった彼女には酷な現実です。国や製薬会社の利益や保身によって、不要な悩みで苦しみ、多くの人を巻き込み、辛い思いしなくてはいけない。そんな状況のなかでもひたむきに歩んでいく。新たな人生の中で新たな出会い。自分を支えてくれる人達との出会い。ピュアな想いは彼女に勇気を与え大きな力をくれる。薬害C型肝炎の問題は決して他人事ではないと言うこと。自覚症状に乏しく気付かないでいる人は今も大勢いるということ。感染被害の重大さを伝える本として、とても身近に感じらる内容で真剣に考えさせられる一冊だと思えます。
彼女の勁さが心に沁みるおすすめ度
★★★★★
人を動かす力を持っている。そういう女性なのかと思う。誰もが当たり前に過ごしている日常に、強烈で、それでいて柔らかな光を差し込んで来る。足元を照らして、それが本当に真実なのかと問いかけてくる。もっと笑って、楽しんで、言いたいことをいってもいいんじゃない?でも、そのためには目を覚まさなきゃといってるようにも聞こえる。C型肝炎という薬害を通じて、真実を問いかけてくる。活字を読める人なら誰でも一度は手にとって欲しい一冊。
「たんなる」闘病記ではない
おすすめ度 ★★★★★
何度もジーンとさせられる刺激的で、深い著作だった。
「本当の幸せとは?」「生きていることの意味は?」を読み手に問いかけてくる。
命の尊さや人間愛・ピュアな心、人と人とが支え合う力・信じる力の偉大さを、生々しい生き様とそこから導き出された、生きた人生哲学をもって教えてくれる。(ところどころユーモアも混ざっていて重くない)
幼少時に「草も、むしられたら痛いんだろうな」と言うほど命を慈しんだ著者が、薬害という大企業・国家の私欲や保身のために命を脅かされたというのは、あまりにも皮肉と言える。
空手部副主将だった高校時代を経て彼女は大学に入り、明確な夢も持たずに漠然と過ごす生き方に疑問を感じ、自分探しの旅に出る(自分で貯めたお金で)。
ヨーロッパの旅先で、温かい様々な人々と出会い新たな発見をし、また大自然からの気づきを得る。そして、自分の生きるべき方向などを少しずつ見い出していく。
『グルグル頭ん中でいろんなことを悩んでいたけど、もっとシンプルに、自分の潜在意識に素直に動けば、それでいいのかもしれないと思った。』
この19歳の「小娘」の一人旅の場面だけでも、ドラマを見るように感動的。
そして帰国後、自分の夢の実現に向けて走り始めた矢先、彼女は突然、自分がC型肝炎だと告知される。
<自分の責任で引き起こした病気であれば、文句も言わず治療もする…> そんな疑問が次から次へと芽生え、人に言えないような悩みと葛藤…。そして、ついに想像を絶する肉体的苦痛を伴う闘病生活が始まる…
ここから、一度夢を絶たれた彼女の、嵐の夜の海を渡るようなすさまじい人生が展開していく。そして運命的な様々な出来事と人に巡り会う中で、彼女は人や人生に対する考え方の殻を見事にぶち破って、大きく成長していく…
変わっていく彼女の姿は圧巻です。
本書は、生きることの根源的な意味を、生き生きとした若者の感性で読み手に伝えてくれる良書と思います。