韓国ドラマ・映画ファンに捧ぐおすすめ度
★★★★★
戦後日本に残った朝鮮半島出身者たちに対する差別というのは想像を絶する厳しさがありました。
朝鮮から渡来して日本で育ち,自らの手で過去のことを描くためには世代交代が必要であり,昔話になったからこそ描く対象になったのだと思います。
1923年,済州島から希望を抱いて大阪にやって来た金俊平は,劣悪な労働環境と差別の中で,自分の強靭な肉体のみを武器に,酒を飲んでは暴れ,好き勝手に暴力をふるい,周囲を恐怖に陥れていきます。
過酷な人生に耐えかねて左翼運動に走り,地上の楽園「北朝鮮」に救いを求める若者も出てきたりして,帰還事業に人々が引き寄せられた当時の雰囲気も感じ取れます。
在日コリアン三世に聞くと「映画ほどではないが,祖父もあんな感じだった」と言っていましたが,本作では,日本の戦後を梁石日の原作で崔洋一監督が作品として送り出した注目すべき作品です。
同様な視点で制作されたものに「夜を賭けて」という作品がありますので,興味のある方はチェックして見てください。
たけしおすすめ度
★★★★★
最後の最後まで、とても楽しく観ることが出来ました。
日本という国を舞台にしての映画で、こうした不幸な描写がためらいもなく淡々と連続するのは、ぬるま湯に生きる我々にとってこれは異常な体験と言わざるを得えません。
そうして何十年にもわたる描写が「一人の人間の暴力」を中心にして巡るという不幸。すげーこっちゃ。
キャスティングもいいです。秀作だと思います。
凄いの一言
おすすめ度 ★★★★★
届いてからずっと気に入っています
。これを知らずして新しい時代のエンターテイメントは語れません。
買って良かったと思います。
概要
1923年、祖国・朝鮮の斉州島を離れて日本の大阪に渡ってきた金俊平(ビートたけし)。金と色の欲に満ち、己の肉体のみを信じ、常識や道徳のかけらもないこの男は、戦前戦後と家族や町の中で君臨し続けていく…。
梁石日の自伝的大河小説を原作に鬼才・崔洋一監督が描く、暴力とエロティシズムに満ちた究極のドラマ。妻子や親戚、愛人までも踏み台にしつつ、ひたすら欲望に忠実に生き抜く主人公をビートたけしがこの上ないほどの凄みと存在感で演じきっており、また彼をめぐる女たち(鈴木京香、田畑智子、中村優子、濱田マリなど)の壮絶な人生描写も圧巻。時に目をそむけたくなるほどの凄惨さにもかかわらず、圧倒的な映像の力によって否応なく画面を直視してしまう。もはや生理的な好き嫌いを優に超越し、映画ならではの真の迫力で観る者すべてに民族と血族の意識を呼び起こさせる演出の力には、ただただひれふすのみだ。これは優れたホームドラマであり、民族の凱歌であり、私的昭和史であり、そして崔洋一監督だからこそなしえた人間ドラマの大傑作である。(的田也寸志)