麦の海に沈む果実 (講談社文庫)
「三月は深き紅の淵を」と表と裏の関係にある一冊。
読了後、「三月は・・・」も再読しました。
両方読んでお互いの深さを味わえます。
北方の湿原の中にある陸の孤島にある学校。
この学校では「ここに三月以外に入ってくる者があれば、そいつがこの学校を破滅に導くだろう」という言い伝えがあった。
そこに二月の終りの日に転入生水野理瀬がやってきた。
不思議な風習と絶対的な権力を持つ校長。
行方不明になる生徒。
最後まで本の中の雰囲気に気圧されたままで独特の世界観が味わえます。
読了後に「三月は深き紅の淵を」
「殺人鬼の放課後ミステリ・アンソロジー2」の中の「水晶の夜、翡翠の朝」、
「黒と茶の幻想」と読み繋いでいって欲しい。
六番目の小夜子 第2章 [DVD]
『六番目の小夜子』がNHKでドラマ化されてから、早十年。いや、まだ十年と言うべきか。
20世紀最後の年に、かくも神秘的なドラマが撮影されていたことは、ミラクルだと言いたい。
「恐怖の文化祭」エピソードの、暗闇の体育館で、ぶっつけ本番で演じられる生徒全員参加の呼びかけ芝居には、今もって戦慄を覚える。
上演された芝居は、サヨコの鍵を持つ者が演じるはずの芝居ではなかったからだ。
鍵を受け継いだ者こそが、その年の本当のサヨコではないのか??
第二章まで観てしまったら、謎の真相を知りたくて第三章(最終章DVD)まで観ずにおれなくなるのは、致し方のない、サヨコ伝説の魔力なのでしょう。
mania coba(3)
cobaのアルバムのなかで一番バラエティーにとんだ選曲です。何回きいても飽きないし、またcobaのすごさが分かるベストCDです。私としては、やっぱりお勧めは「霖雨 - リンユイ -」 チェン・ミンの二胡との絡み具合が最高です。
六番目の小夜子 (新潮文庫)
深夜のドラマをたまたま見る機会があって、気になっていた作品でした。
ドラマは最初の回しか見ていません。
ですが、学校伝説と謎の転校生というスリリングな設定に、すぐに引き込まれたことはいうまでもありません。小説も「サヨコ伝説」にぐいぐい引き込まれます。
ところが、多くの方がご指摘の通り、オチがありません。フランス映画を観たあとと同じ気持ちになります(「海辺のポーリーヌ」とか)。フランス映画はそのあと観客同士の話題提供のため、あえてオチがないそうですが、作者もそれを狙ってのことでしょうか。
どっちにしても読んだあと、あれこれ考えたいという人にはオススメ。しっかりとしたオチがないとイヤだという人はツラい作品かもしれませんね。
図書室の海 (新潮文庫)
作品集だと思います。
恩田ワールドのその多様性や、彼女の語りのうまさや、独特の世界観など
堪能できるでしょう。
何よりも、言葉の使い方のうまさ。
それは、タイトル『図書室の海』ですでに明らかでしょう。
彼女の手にかかると、ごく平凡な言葉が違う光を当てられて
新しく輝きだすようです。