FAIRY TAIL(32) (講談社コミックス)
第32巻は大陸(フィオーレ)一のギルドを決める大会の本戦である。大会本選は5日間。競技パートとバトルパートの2種目が毎日行われる。7年間の空白で弱小ギルドに零落した「妖精の尻尾」の復活を印象付けたいところであるが、緒戦の結果はイマイチであった。安易に主人公サイドに勝利を与えず、今後に期待を持たせる展開である。
バトルの大会となると数多くのキャラクターが登場し、一人一人のキャラクターの印象が薄くなりがちである。それは漫画の人気を低迷させる危険がある。これに対して、フェアリーテイルではキャラの個性が豊かである。
この巻ではルーシィがバトルに出場する。ナツやエルザの活躍で戦闘要員としては印象の薄いルーシィであるが、ここでは一対一のバトルで実力を見せ付ける。対戦相手は卑怯・卑劣な手を使うが、ルーシィは実力で圧倒する。王道的なバトルが展開された。
この対戦相手は病的な目つきをした赤髪の女性である。漫画家の描くキャラクターは顔がパターン化してしまいがちである。このキャラもエルザと同じ顔になりそうなところであるが、病的な目つきによって描き分けることに成功した。(林田力)