人はなぜ学歴にこだわるのか。 (知恵の森文庫)
著者の小田嶋氏にしてみれば、早稲田出身で良かった事と言うと
子供のPTAで自己紹介などをした時に、出身大学で一目置かれる
と言った程度のことらしい。考えてみれば大学名と言うのは
就職と結婚の時に重視されるだけで、それ以外の要素で人生自体が決定される
と考えていいだろう。尤も、就職・結婚は人生の三大行事の内の二つで、
もう一つは葬式だが。
個人的に私が著者のことを羨ましいと思うのが、著者の都立高校時代である。
現代文の非常勤の先生が灘中灘高から東大にストレートで合格した学歴エリートの
25歳くらいの人だが、一年間だけ著者のクラスを教えていた時、
「ハッキリ言って東大を出ても良い事なんか何もありません。
僕を見れば分ります。」と生徒たちに屈託をぶつけるシーン。
山手線の内側の都立進学校ならでは、という感がある。
小田嶋氏たちは「まるで、ガキだな。」という反応。都立の生徒らしい
余裕っぷりが、実に「大人」である。
恐らく、問題の本質は、人は自分では如何し様も無い事についてのみ、
他人と比較して「勝手に」コンプレックスを持つのだろう。
生きる時代とか、生まれた場所だとか、その他諸々である。
自分で如何にか出来る事には、普通は悩まないし、ましてや
コンプレックスなど抱かない。「屈託」と言うものの正体だろう。
GOETHE (ゲーテ) 2012年 07月号 [雑誌]
デビューからのファンです。 こんなに長く楽しませてくれるひろみさんに大感謝です。
それは努力し続けているからなんですね。この鍛えた体を見て感激しています。
保存版にします。
ダディ
本書を読むきっかけは、実は内容のためではなくて、
本書が出版された、ごくユニークな周辺事情を聞き知ったことからだ。
本書は1998年4月9日に、それまで周囲に復縁を期待されていたカップルの離婚発表の当日に、
プレスにとっても誰にとっても、全く寝耳に水の事件で、
誰もが本書を購入して読む以外にカップルの離婚の経緯を知るすべがないという空前の環境下で、
しかも当時としては型破りを通り越した前代未聞の、初版50万部という極めてリスキーでエキサイティングな形で
出版されたということなのだ。
そういう事情のある本だから、内容について今更どうこういうのは変な話かもしれないが、
全体の印象はタイトルが示すとおり、離婚の顛末を赤裸々に描くと言うよりは、
父親が10年後くらいに成長した娘たちにむけて自分たちの事情を伝え、
自分たちが娘たちをとても愛していることを伝えたいといった趣旨。
離婚というのは片方の言い分だけを聞いてどうなるものでもないだろうが、
芸能界という特殊な世界で育った人が大卒直後に結婚してしまった9歳年下の妻の純粋さに
翻弄されるというよりは、不器用にひたむきに応えようとして失敗を重ねたエピソードには微笑ましさは感じた。
なぜ、「これ」は健康にいいのか?
本書は、自律神経が健康の根源になっていることを、著者のこれまでの
研究成果を踏まえた医学的見地から、分かりやすく提示したものである。
本書の主張は実に分かりやすい。
それは、「交感神経と副交感神経が共に高いレベルでバランスよく働くこ
とが、健康管理において、そして病気の治癒において大変重要である」
ということである。
この、本書の根幹といえる主張を裏付ける根拠として、女性が男性よりも
10歳ほど長生きすること、スポーツ選手がいい結果を残す時と残さない時
の違い、ヨガや足裏マッサージが健康にいい理由、便秘や糖尿病や高血圧
の原因についてといった具体的事例に対して、交感神経と副交感神経の
バランスの観点から説明し、説得力を高めている。
そして、現代人にとっては、交感神経のみが高くなる生活を送る傾向が
あるとした上で、副交感神経を高めるために、一日三食の食事、腸内環境
の整備、朝一番にコップ一杯、そして何より「ゆっくり」構えて過ごすこと
等、著者が勧める具体的実践例が示されているのは、すぐに心掛けること
ができる点でありがたい。
最後には、笑顔でいること、怒らないこと、愚痴を言わず弱音をはかず、
一生懸命努力することが、健康のためにとてもいいことが、自律神経の観点
から示されている。
また、本書をとおして、病気に対して対症療法でのぞむのではなく、根本的
な視点として、「自律神経の働き」にもっと注意を払うべきである、という
著者の主張は、安保徹先生の「免疫」、石原結實先生の「体温」と軌を一に
するものである。普段の心がけや生活習慣から健康に注意を払いたいと考えて
おられる方は、一読の価値があるとお勧めします。